1日2食だった江戸時代以前の日本人、死因のトップは感染症。どんな栄養が不足していのか?

江戸と感染 食と健康

江戸時代以前の日本人は、1日2食がスタンダードだったそうです。内容も非常に粗食でした。死因のトップだった感染症と、当時の栄養状態に関係はあるのでしょうか。

昨今、1日3食を2食にしたりと、食事回数をあえて減らす健康法が流行っているようです。実際、体調が良くなったという方の話もよく聞きます。

はたして、食事回数を減らしても問題はないのか、栄養が不足することと感染症に関係はあるのか、その辺りを調べてみました。

きぶんやママ
きぶんやママ

食事回数を減らしたり、粗食にすることに挑戦しようとしている方に参考になると思います。

江戸時代の死因トップは感染症だった

江戸時代の死因はどんなものであったのか、探ってみましょう。江戸時代campasさんのHPによると、以下のような死因であったようです。

乳幼児死10歳までの子では4割が亡くなっていた。死因は病気など。
麻疹(はしか)ウイルス性の病気。江戸時代では13回の大流行。
天然痘数十年置きに大流行。死に至ることも多かった。
コレラ江戸時代後期に流行。江戸だけで24万人亡くなった。
江戸時代campasさんHP参考の上、筆者作成。江戸時代の主な死因

江戸時代は抗生物質がなかったですし、予防接種も江戸時代末期にならないとありませんでした。ですから、麻疹や天然痘、コレラなどの感染症が流行ることが多く、感染症で亡くなる方が多かったのです。

1日2食で食事回数の少なかった江戸時代の人々、内容も粗食でしたが、少なくとも飢餓状態で亡くなったのではなく、死因のトップは「感染症」でした

栄養不足で感染症にかかりやすかった?

死因のトップが感染症だったとすると、江戸時代以前の食生活が1日2回食だったり、内容が粗食であったりしたことが、寿命に関係なかったと言えるでしょうか

もし言えるのだとすると、現在1日3食をやめて、食事回数を減らそうかと考えている方には朗報ですね。

私もそうだったら良いのになぁと思ったりします。無理して空腹でもないのに「栄養をとらないと」と焦っている自分がいるように思うからです。時には、子供のように「身体の状態に正直に」反応して食事をしたいと思うのです。

しかし、そうは簡単に話がすすみません。

なぜかというと、感染症は「衛生状態」や「栄養状態」の悪さでかかりやすくなる病気だからです。

つまり、直接的には栄養不足や飢餓状態で亡くなる方は一般的ではありませんでしたが、栄養不足が引き金となって「感染症」にかかりやすくなっていた可能性は捨てきれないのです。

「低栄養」や「やせ」の方は感染症にかかりやすい

一般的には、低栄養の方やBMI(体格指数)がやせの方は感染症にかかりやすいと言われています。日本臨床栄養代謝学会でも、このように説明しています。

一方、生体の免疫力は栄養状態によって支えられており、低栄養で特に筋肉量が減少した人あるいは動物では、明らかに細菌やウイルスなどの感染症に対する免疫能が低下していることが知られている

一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の
治療と予防に関する栄養学的提言より引用

1日2食で、内容も粗食だった江戸時代以前の人々。だから感染症が流行ったのであれば、「低栄養」やBMIが「やせ」の人だらけだったのでしょうか?

調べようもないことですが、私はそうでもなかったのではないかと思います。江戸時代以前の方々は、粗食とはいえ、男性は1日5合もお米を食べていたと言います。

江戸時代の食事についてはこちらのブログで紹介しています。→なぜ1日2食や1食にすると体調が良くなる?1日2食で内容も粗食だった江戸時代をヒントにした、私なりの考え方

お米にもタンパク質は含まれています。あまり多くはないですが、お米から植物性のタンパク質を得て、今の人々よりも体を酷使していて、人々が逞しい体つきだったという記述も当時の書物にあるそうです。

ただ、地域によってはタンパク質が不足していたかもしれません。当時の記述に、「魚は1ヶ月に3回程度手に入った時に食べていた」とあります。豆腐は比較的容易に手に入ったようですが、今のように十分に手に入ったとはいえないようです。

ビタミンやミネラル不足が原因?

他に考えられることは、ビタミン・ミネラルの不足です。現代の日本人も不足しているビタミン・ミネラルは多いのですが、当時もそうだったかもしれません。

感染症予防に有効なビタミンとしてよく言われるのが、下の図の通りです。

ビタミンDウイルスを防ぐデフェンシンというペプチドを作る働き
ビタミンA免疫細胞の成熟に必要
ビタミンCウイルス感染防御能を高める
女子栄養大学 香川靖雄副学長 新型コロナウイルス最新情報と予防栄養学より引用

私の息子は偏食があり、白いご飯が大好きでおかずをあまり食べません。そこで、過去のブログで「ご飯だけでどれだけ栄養素がとれるか」調べたことがあります。

そこで、ご飯に玄米を入れることでかなりのビタミン・ミネラルが向上しました。しかし、どうしてもとれなかった栄養素があります。それが、「ビタミンA」と「ビタミンD」、そして「ビタミンC」でした。

この3つは他のおかずから補う必要がありました。ご飯食に偏っていた江戸時代以前の人々も、同じ状況だったのではないでしょうか。それらの栄養素が不足していたことにより、感染症にかかりやすかったということが言えるのではないかと私は考えています。

[余談] 江戸時代の平均寿命は30〜40歳

ところで、江戸時代の平均寿命は短かったとよく言われます。これは死因の感染症と関係があるのでしょうか。

ちなみに、江戸時代の平均寿命は大体30〜40歳前後とされています。

私は今そんな歳なので、「え!もう死んじゃうの、、、」と悲しくなりました。現在の平均寿命は男性81.41歳、女性は87.45歳ですから、(令和元年簡易生命表より)比較すると江戸時代の平均寿命は相当短いと思ってしまいます。

しかし、実はこの平均寿命にはカラクリがありました。

実は、江戸時代以前というのは、乳幼児がたくさん亡くなる時代だったのです。平均なので、亡くなる乳幼児の数もそこに入っているのです。

ですから、乳幼児時代を生き延びることができれば、長寿になる可能性は今と同じレベルくらいあったと言われています。

葛飾北斎や徳川家康などなど、長寿の方はたくさんいました。

まとめ

=MEMO=
1日2食だった江戸時代以前の人々の死因トップは感染症
感染症のかかりやすさは「衛生状態」と「栄養状態」が関係している
栄養状態では、「低栄養」と「やせ」で感染率が高い
江戸時代以前の人はタンパク質やビタミンが不足気味だった可能性あり

以上が、江戸時代以前の食事と死因を見た時の、私なりの考察です。

これから食事回数を減らしたり、粗食にしてみようと思われる方は、まず自分のBMIが「やせ」に入っていないかを確認して欲しいと思います。

また、「やせ」に入っていない場合も、タンパク質やビタミンはとって欲しいと思うのです。

ただし、「ビタミンA」と「ビタミンD」については、サプリメントなどのとりすぎによる過剰症が問題になっています。どちらもとりすぎると身体に悪影響が出る脂溶性のビタミンなので注意していただきたいです。

食事でとる分には、まず過剰症になるほどとれないので、心配しなくても大丈夫です。問題はサプリメントでとる場合です。食品でとるよりも吸収されやすいので注意が必要です。(ビタミンCは、水溶性なので、とりすぎても尿と一緒に排出されます)

なお、感染症というと今は「新型コロナウイルス」が頭によぎりますが、女子栄養大学の香川先生はコロナにも先程のビタミンは有用だとおっしゃっています。

きぶんやママ
きぶんやママ

感染症を防ぐ意味でも、やせの方は食事回数を減らすのは要注意です。

過去のブログで、ちょっと肥満の方は感染症に強い話を書きました。そちらも参考にしてみてください。→「ちょっと肥満」の人達は新型コロナに強いことが判明!

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