生活の中でふと生じる疑問。皆様にも経験はないだろうか。生じるけれど、生じたことも忘れてそのままになる。そして、毎年同じ疑問を抱いている。
そうした疑問の一つが、「つつじの色問題」だった。今年こそは、忘れずにちょっと調べてみようかなと思う。
不思議なつつじの色
つつじの色の何が不思議かというと。たまにこんな色の花を目にしたことはないだろうか。
白い花に、きっぱりとピンク色の部分が出現する。しかも、定規でひいたように真っ直ぐと。これは明らかに不自然。
でも、ピンクの花に白い筋が入っているものは不思議と見かけない。これは毎年謎だった。
答えは「遺伝子」にあり
調べてみると、どうやら答えは遺伝子にあるようだ。答えにズバリ答えてくれているサイトを見つけた。出所も信頼できそうなので、こちらの情報を元にした。
サツキ・ヒラドツツジの咲き分けについて | みんなのひろば | 日本植物生理学会
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=2186
このサイトによると、白い花にピンク色が出現するのは、「トランスポゾン」が関与している可能性が強いということ。まだ証明した人はいないらしい。
トランスポゾンとは?
トランスポゾンとは、1940年にバーバラ マクリントックがトウモロコシにおいて存在を予言した、染色体の中を動く遺伝子です。
日本植物生理学会サイトより
トウモロコシが斑入りになる原因を調べている時に予言されたそう。当時は突飛なアイディアで受け入れられなかったが、バクテリアや酵母で動く遺伝子が見つかり、認知された。
遺伝子が動くなんて驚きである。でも、植物に限らず動物にも多数存在していることが現在では分かっている。
トランスポゾンの働きは?
トランスポゾンは、特別な配列をもつDNAで、DNAにランダムに入り込み、また飛び出してはDNAの別の所に組み込まれます。
日本植物生理学会サイトより
トランスポゾンが組み込まれた部分のDNAは機能しなくなってしまう。
例えば、つつじの色素(アントシアニン)を作る遺伝子にトランスポゾンが組み込まれて受粉されると、色素が作られない為に色素の抜けた花が出来るのだ。
ここでピンときた。
そういえば、つつじの色は元々みんなピンクだったというのを聞いたことがある。トランスポゾンによって色素合成が機能しなくなったのが白色のつつじになるのだ。
白色の花にピンクが混じるのは?
ではなぜ、白色の花にピンクが混じってしまうのか。
このような花において、色素合成酵素遺伝子からトランスポゾンが抜けてどこかに動きますと、色素合成酵素遺伝子の機能が復活します。
日本植物生理学会サイトより
つまり、色素合成を邪魔していたトランスポゾンが気ままに動いてしまうと、あのつつじのピンク色が復活するということなのだ。
遺伝子は対になっているので、どちらか一方のトランスポゾンが動くと、花びらの半分で色が復活する。
だから、定規でひいたようにピシッと色がわかれていたのか~と納得する。
でも、色がついた部分は花の半分ということではなく、スッと筋が入ったようだったり、幅広でも花の1/4程だった。それはどういうことだろう。
ピンク色が入る範囲はどう決まる?
大きなセクターは、花の発生の早い時期、小さな斑点のようなセクターは花の発生の後の方でトランスポゾンが抜けた為に起こるのです。
日本植物生理学会サイトより
なるほど。トランスポゾンが花の発生したどの時期で抜けるかで、白い花にピンクが入る範囲が決まるということだ。
まとめ
私たち家族が見つけたこの白い花は、花が発生した中間~後半あたりに、対になった遺伝子の一方からトランスポゾンが抜けて、ピンク色が復活したということが分かった。
長年の謎が一つ解決した。
しかし、そうするとこの花の色はどうして出来るのだろう。
白とも言えず、ピンクとも言えない。う~ん、奥深きつつじの世界。疲れてしまったので、この疑問はまた今度。