少し前に友達からとなりのトトロのDVDをお借りした。子ども達に観せたいなぁとずっと思っていたのだ。
私も主人も、セリフがつい口から出てしまうくらい、よく覚えている。今観てもやっぱりトトロはかわいい。
当時は自分がさつきになった気持ちで観ていたことも思い出した。妹をメイに重ねて観ていた。
しかしこの年になると母親目線となり、我が子にさつきとメイを重ねて観てしまっている自分がいた。
この作品は、いくつになっても楽しめる、世代を越えた名作だとしみじみ思う。
我が子たちも気に入って、何度も何度も見返していた。時代背景が全然違うのに、子どもが面白いと思うポイントや、その時々の感情は今も変わらないようだ。
ところで、この表紙の子は誰?
ふとDVDのケースを眺めていたら、一つ不思議な所に気がついた。
雨の中、さつきがバス停でトトロに始めて出会うシーンの絵なのたが、トトロの隣に立っている女の子がさつきでもメイでもないのだ。
お話の中では、眠ってしまったメイをおんぶしているさつきが、赤い傘をさしているシーンのはずだが、どう見ても女の子が一人きり。
この女の子は一体誰だ?
色々調べてみる
ネットで色々調べてみると、私と同じ疑問を抱いた人が結構いる事と、この女の子が誰なのかがなんとなくわかってきた。
DVDをお借りした友達に聞いたら、気がつかなかったと言って色々調べてくれた。
さらに、家にあったからと貴重な資料まで貸してくれた。それは、上映当時のパンフレットと、徳間書店のとなりのトトロの雑誌。
この貴重な資料にその辺りの謎を解く手がかりが書いてあるに違いないと、何度も目を通した。
もともと主人公は一人の設定だった
徳間書店から出ているとなりのトトロ雑誌には、こう書いてある。
(となりのトトロの)映像化に当たり変更や追加が必要であった。古いボードでは主人公はメイだけであるが、映画化になるに当たって姉妹でいこうという考えがあつたらしく、真っ先に姉妹のボードに取りかかった。
ROMANALBUM となりのトトロ 徳間書店より
宮崎監督は、作品作りが始まる10年前からすでにこの構想があって、企画していたようだ。
つまり、あのDVDジャケットの少女は、その頃の少女であり、主役はメイ一人だったというから驚きである。
元のキャラクターの幼い部分と成長した部分を分けて生み出したかの様なサツキとメイ、ふたりの〈五月〉が生まれた。
ROMANALBUM となりのトトロ 徳間書店より
そういうことだったのか。きっと、わざわざ姉妹の絵ではなくて、当初のメイだけの絵をジャケットに採用したのも、この絵に並々ならぬ思いがあったからに違いない。
その辺の宮崎監督の思いがどこかに書かれていないかと探したが、ついにみつからなかった。
他にも色々と裏話が、、、
この雑誌には、他にも色々と裏話が載っていて、読めば読むほど面白い。
例えば、さつきとメイのお父さんの声を担当した糸井重里さんの話。
コピーライターの糸井重里さんが、娘さんを伴って来社。作品のイメージディスカッションを行う。娘さんと一緒の糸井さんは、コピーライターというわゆりも、いかにも「お父さん」であり思わず、お父さんの糸井さん来社といった感じだった。が、よもや後にさつきとメイの「お父さん」を演じることになるとは思わなかった。
ROMANALBUM となりのトトロ 徳間書店より
当時の私は、糸井さんだけ声優さんじゃないからか、何か単調で違和感を感じた。
しかし今では、淡々とした語り口調が大学の先生らしさもあり、娘に優しく語りかけるところやお風呂で大はしゃぎする声が父親らしくもあるなぁと感じている。
きっと監督も、父親役は本物の父親にしな出せないと感じてのことだったのだろうなと思う。
他にも色々と裏話があり、書き出すとブログが1ヶ月くらいこの話題になりそうなので、このあたりでやめておく。
貴重な資料とDVDを貸してくれた友達にお礼を言いたい。
となりのトトロは、これからも廃れることなく、語り継がれていってほしい名作だと思う。我が家もDVDを買おうかな。