我が家の小3息子は、学校給食が苦痛でたまらないと言います。なぜなら、食べられないものが多すぎるからです。
幼稚園はお弁当だったので良かったのですが、小学生になった途端給食が嫌で、毎日学校に行きたくなくなってしまいました。なんとか先生のご協力もあり通っていますが、小3になった今でも給食の悩みは尽きません。
HSC(まわりの環境に対して敏感に察知する子ども)の兆候がある息子は、味や臭いなどにも非常に敏感で、そのせいで偏食になっています。
そんな息子の思いを今日はつぶやこうと思います。
同じような境遇の方の助けになれば幸いです。
HSCと息子の偏食
まず HSCについて簡単に紹介します。HSCとは「超敏感な子ども」という意味で、まわりの環境に対して非常に敏感に反応する子どもたちのことを言います。大人版はHSP(超敏感な人達)と言います。
アメリカの臨床心理学博士エレイン・アーロン博士が提唱したことで広まりました。私は、この HSCと偏食は深く結びついていると思っています。
そのことを書いた過去のブログはこちら
【偏食】その偏食、もしかしてHSCのせい?感覚過敏が鍵だった
我が家の息子は、アーロン博士の作った「HSCかどうか判定するチェックリスト」で全て当てはまりました。間違いなく HSC気質の子どもです。
そして、息子は口の中や臭いに関しても非常に敏感です。例えば、天然の鯛と養殖の鯛の歯触りの違いなどを感じて、今日の鯛は硬めで食べられないなどと言います。それくらい口内も敏感なのです。
ブロッコリーの硬さも、いつもより少しでも柔らかいと食べられません。最初のうちは、「わがまますぎる!」と憤慨していました。「もう食べなくていい!」なんて腹をたてて怒ったこともあります。
でも、本人にもどうしようもないのです。無理矢理食べようとすると、涙が出てオエッと吐き出しそうになってしまいます。硬さの違いや臭い、味の違いなどに慣れるには、非常に時間がかかります。
家ではどんな食事?
そんな息子の家での食事は、まさしく「昔の日本人」みたいな食事です。例えばある日の食事はこうでした。
玄米ご飯、田作り、えのきと豆腐の味噌汁、ちだいの塩焼き
つまり、純和食の献立です。(大人はこれにほうれん草の胡麻和えやぬか漬けがつきました。でもそれは食べられません。)
メインが「ちだいの塩焼き」だったので良かったですが、たまに主人が「餃子がいい!」なんて言うと息子は食べられません。なので、玄米ご飯、田作り、味噌汁という、メインがない食事で終わってしまいます。
基本的に中華や洋食は食べられません。パスタは、アサリのパスタなど塩味なら食べられますが、トマト系やクリーム系は全く食べられません。ピザなどもってのほかです。
パンは食べられますが、好んで食べません。ご飯の方が10倍、いや100倍好きです。(本人談)
給食が辛すぎる息子
そんな息子が、小学校に入って給食で苦労するのは目に見えていました。給食は毎日「ご飯・味噌汁・おかず」のような献立ではありません。
栄養士さんは子どもが飽きないようにと、毎日違う献立を立てています。主食もご飯ばかりではなく、パン、麺と実に多様。デザートもついたりします。
ある栄養士さんは、「1年間同じ献立は全くありません。そしてどんどん新メニューを追加しています。」と自慢げに言われました。
私はそれを息子に告げると「それは悲しすぎる」と言います。毎日同じが良い息子にとって、それはまさに地獄でした。いつも同じであることが、彼にとっては1番の安心材料なのです。例えば毎日違う家に泊まるとすると、それは落ち着かないでしょう。彼にとってはそれくらい、「毎日同じ」であることは大事なことなのです。
息子が給食で食べられるのは、ご飯と牛乳のみ。おかずはほんの一口分くらいに減らしてもらっているようです。
困るのは、パンや麺の日。何も入っていないパンならまだ良いのですが、りんごパンやチーズパンなど、何かが混入しているパンは食べられず、牛乳しか飲めないこともあるようです。麺は、息子の学校では袋に入った麺が配られます。本来ならそこにタレかスープをかけて食べるのですが、息子は麺を袋から出し、そのまま味のない麺をかじっています。
ちょうど1年生の参観の時、息子が味のない麺をひたすらかじる姿を見て、あまりのショックで見ていられないほどでした。ちょっとだけタレをつけたら?と言っても、これの方がまだマシだと言って聞き入れません。
私はそんな様子を、毎年担任の先生に伝えなければなりません。
親も偏食なんじゃない?という誤解
こういう話をすると、親も偏食なんじゃないか、家でもっとバリエーションに富んだ献立を作るべきでは?と思われるかもしれません。
まず、私は小さい頃偏食ではなかったと思います。かぼちゃが少し苦手でしたが、「嫌だなぁ」と言いながらも渋々食べていました。今はパクチー以外何でも食べられます。(和洋折衷何でも好きです)
そして夫はあまりわからないのですが、和食中心の食事ではあったものの、パスタも好きだったし偏食だった覚えはないとのこと。たまに温度や食材のこだわりでうるさいことを言うこともありますが、基本的に何でも食べてくれます。
もっとバリエーションに富んだ献立を作れば?という話ですが、実を言うと私は学校給食で栄養士として勤務していたことがあり、給食の味を家庭で再現もしてきました。バリエーションもそれなりにあったと思います。
同じ境遇の方へアドバイス
来年から小学生、またはすでに小学生の方の中にも、同じように給食で悩まれている方は多いのではないでしょうか。
しかし、まわりの人達は「給食で悩む」ことを理解されていない方が多いです。給食は子どもたち皆大好き、バリエーションがあって楽しい、そう思っている方が大半です。栄養士さんもそう思っているかもしれません。
だから、まずは分かってもらうことが一番です。そして、一番分かってもらうべきなのは、担任の先生です。
私は担任の先生に、家での食事や経歴をよく話します。話せない場合は、連絡帳に書きます。最近の先生方は、給食を無理矢理食べさせるようなことはないようです。昔とは違いますね。
ただ、ここまでおかずが食べられない人は珍しいようで、多少びっくりされます。でも、あるベテランの先生はこうおっしゃいました。「そういえば昔、同じように白いご飯ばかり食べる子がいましたよ。でも、ご飯をしっかり食べるなら心配ないですよね。」
逆に新任の先生は、理解していただけたと思ったら、「嫌いなものも一口は食べよう」とおかずを半分しか減らせてもらえませんでした。そこで、もう一度詳しく説明をしました。すると、先生もご理解していただけたようで、より寛容に対応していただけました。
苦手な教科が誰しもあるように、息子は給食が苦手だという、ただそれだけのことなのです。同じように悩む方へ、給食が苦手なのは、鉄棒が苦手とか算数が苦手とか、それと同じなのだと考えてください。私はかつて、本当に息子の偏食で悩みました。親子共々苦しい思いをしました。でも、そのくらいの事と思えれば、きっと苦しさは半減します。
栄養士としての私の考え
栄養士なのに、息子がこんな状態で情けない、、、と自分を責めたこともあります。でも、よく考えれば息子は何も悪いことをしていません。そして、自分で自ら「純和食」を選んでいます。それは悪いことでしょうか。
親なら誰しも、我が子が健康に生きられるようにと願うでしょう。もちろん私もその一人です。しかし、息子の食事は全く健康的で、むしろ子どもの肥満や糖尿病が問題になっている現代においては理想的なのではないでしょうか。
私は皆さんにわかりやすいように「偏食」という言葉を使っていますが、本当は使いたくありません。なぜなら、日本人に合った理想的な食事をしていると思うからです。
給食が学校へ行きたくない理由となっている場合があることを、食べることが大好きな私は知りませんでした。息子のおかげで知ることができました。そして、同じように苦しんでいる、HSC由来の偏食がある子どもたちが他にもいることを、広く知っていただきたいと願っています。
偏食で給食について悩んでいる方は、まず担任の先生によく現状を伝えてみてください。
きっと柔軟に対応していただけます。
牛乳アレルギーがあったり、牛乳でお腹がゴロゴロする人へ、なぜ給食で必ず牛乳がついてくるのか、過去のブログで解説しています。よろしければ参考まで。→【給食】どうして学校給食に必ず牛乳が出るの?
後日、小学4年生に上がるタイミングで、なんと給食を弁当対応にさせてもらえました。詳細はこちらに書いてあります。→【偏食】給食が食べられない息子、お弁当を持っていくことになった話