食文化が欧米化する前の沖縄は、世界一の長寿地域だったのです。
その秘密は伝統料理にありました。
これを知れば、あなたの食も変わるかもしれません!
目次
長寿をもたらした伝統料理の特徴
心臓の病気やガンになりにくく、骨も強かった沖縄の人たちが普段食べていた伝統料理は、こんな料理でした。
実だくさんのスープとさつまいも、それに野菜炒めやきゅうりの酢の物などが少々、脂肪を溶かすといわれる台湾茶のシーミー茶を大量に飲む
この普段の食事は、食物繊維が豊富な紅芋に、緑黄色野菜、魚介類、少量の肉の煮物など、低カロリーで栄養価が高い食物を合わせた、栄養学的にも素晴らしい食事でした。
ところで、みなさんは沖縄の伝統料理というと、どんなものを思い浮かべますか?
ヘルシーな「ソーキそば」、「海ぶどう」などの海藻類は、いかにも上記の特徴に合うような、体によさそうなイメージですね。
一方で、豚の角煮のような「ラフテー」や、ドーナツのような「サーターアンダギー」、甘いお菓子「ちんすこう」なども思い浮かぶのではないでしょうか。
そういう料理を思い浮かべると、長寿をもたらした伝統料理の特徴と違うような気がしますよね。脂質も糖分も多そうなイメージ。
脂質も糖分も多い伝統料理が多いのに、なぜ沖縄の人は長寿だったのか。
そこのところを、次に解説します!
脂質や糖分の多い伝統料理の秘密
結論からいうと、次の通りです。
沖縄の伝統料理「ラフテー」や「サーターアンダギー」、「ちんすこう」は、特別な祝儀の「おもてなし料理」だったので、普段から常食していたわけではなかった
もし、こうした脂質や糖分の多い伝統料理を毎日のように食べていたら、世界一の長寿地域にはならなかったでしょう。「たまに」食べていた程度で、普段は食物繊維、ミネラル、ビタミンの多い料理を食べていたからこそ、心臓病、ガンになりにくく、骨も丈夫な体を維持できたのです。
では、それぞれどういう風に食べられていったか、見てみましょう。
ラフテーの食べられ方
まず、「ラフテー」の話。ラフテーは、簡単に言えば豚肉の角煮のような料理です。戦前までの沖縄では、豚肉を毎日たらふく食べていたわけではありませんでした。
戦前は、お正月やお盆に豚を一頭つぶし、それを塩漬けで保存して、一年分のたんぱく源として使いまわしていました。
普段はその肉を少しだけスープに入れる程度です。しかも、ラフテーを作る時も、4時間煮込んで一晩置き、表面の油脂を取り除いてまた煮込むというもので、肉の脂肪分はほとんどなくなるのが本来の調理法でした。脂のこってりした料理でさえなかったのです。
豚の命を尊重し、多くたべすぎない、それも特別な時だけいただくという風習。さらに、調理法もできるだけ脂を取り除くというもの。それが実は、脂質のとりすぎを防ぎ、沖縄の長寿に結びついたというわけなのです。
サーターアンダギーや、ちんすこうの食べられ方
また、「サーターアンダギー」は結納時に縁起物として食べられていました。表面に割れ目を生じるので、「女性」の象徴とされているようです。
結納では、同じく「男性」を意味するものとして、「カタハランブー」という料理があります。これは、塩味の天ぷらのようなもので、はやり結納時に子孫繁栄を願って食されます。
王朝時代に、中国で菓子作りを勉強した宮中の包丁人たちが、中国の菓子を参考に作ったのが「サーターアンダギー」と「ちんすこう」でした。どちらも、特別な時にしか食べないものでした。
まとめ
戦前長寿だった沖縄の人達の「普段の食事」は、低カロリーで食物繊維が豊富な食事でした。また、海藻も摂取量が高く、カルシウム・ミネラルもしっかりとれていました。だから、骨も丈夫だったのですね。
脂質や糖分を多く含む伝統料理は、特別な時に食べるおもてなし料理でした。子どものおやつなどに常食するようになったのは、戦後になってからのこと。世界一の長寿地域だった戦前までは、滅多に食べられない貴重なものだったのです。
ということで、長寿の秘訣をまとめると、
脂質や糖分の多いものは、特別な時だけにして、シンプルな伝統料理を基本にしていたのが長寿の秘訣
子どものおやつなど、当たり前のように甘くてカロリーの高いものを毎日のようにあげていました。反省!
平日は粗食、土日は奮発(!?)のように、メリハリをつけた献立にすると、現代の私たちにも実践できるのではないでしょうか。
参考文献:太ったインディアンの警告 エリコ・ロウ 生活人新書、沖縄の伝統料理