主人が家族性大腸ポリポーシス|結婚・出産を悩む人へあきらめないで欲しい

家族性大腸ポリポーシス結婚妊娠をあきらめないで欲しい 病気

家族性大腸ポリポーシス(FAP)」という病気をご存じでしょうか?「家族性大腸腺腫症」とも言われる大腸の病気で、私の主人がこの疾患を持っています。

珍しい病気ではありますが、2021年4月時点で日本全国に約7,300人の患者さんがいらっしゃるとのこと。

名前に家族性とつく通り、親から子へと遺伝する病気です。患者さんの中には「自分は結婚できないのではないか」「出産はどうしようか」と、家族形成のことで悩んでいる人もいるようで、相談を受けることがありました。

そこでこの記事では、私が家族性大腸ポリポーシスを抱える主人についてどう考え、結婚・出産をするに至ったかをお話しします。

患者さんや、家族の方の参考にしていただき、結婚や出産をあきらめることはないとうメッセージをつづりたいと思います。


家族性大腸ポリポーシス(家族性大腸腺腫症)とは?

家族性大腸ポリポーシス

ここで、念のためこの病気がどんなものかを簡単に解説します。もう知っているという人は、次の見出しまで飛ばしてくださいね。

家族性大腸ポリポーシス(家族性大腸腺腫症)とは
APC遺伝子の変異が原因で発症する遺伝性疾患
この疾患では、大腸に数百から数千個ものポリープが形成され、放置すると大腸がんに進行してしまう。家族性大腸ポリポーシスの英語の頭文字(Familial Adenomatous Polyposis)をとって、FAPと呼ばれたりもする。

家族性大腸ポリポーシスの特徴:

  • 発症のタイミング:10代から20代にかけてポリープが増え始める
  • 遺伝の確率:片親がFAPの場合、50%の確率で子どもに遺伝
  • 治療法:大腸全摘術が一般的だが、大腸温存を目指す治療法も研究されている
きぶんやママ
きぶんやママ

私の主人は大腸を温存しながら毎年治療を続けています!

家族性大腸ポリポーシスと結婚

家族性大腸ポリポーシスと結婚

私と結婚する前に、主人から「自分は遺伝的にガンになりやすい体質だけど良いか」と聞かれました。その時は、詳しい病名は聞きませんでしたが、私はこう伝えました。

きぶんやママ
きぶんやママ

今は2人に1人がガンになる時代。
私も何かのガンになりやすい遺伝子を持っているかもしれない。
私はそれを知らないで今生きているけど、あなたはすでに知っている。
であれば、むしろ私よりも気をつけられるし、
私の方が気がつかずにガンになる可能性もある。
よっぽど私の方が危ないんじゃないかな。
だから、それが結婚を考え直す理由にはなりません。

世の中には、たくさんの病気があります。皆、何かしら抱えながら生きているのです。まだ症状が出ていないだけで、隠れて進行している病気もあるかもしれません。

「病気で短命かもしれない」「同じ病気が将来のこどもに遺伝するかもしれない」そういう「かもしれない」を理由に結婚や出産をあきらめることはありません

仮に何の病気にかからないとしても、突然の事故で亡くなる可能性だってありますよね。

起こるか分からない将来のハプニングを心配して行動しないより、その時の二人の(家族の)気持ちを大切にすること、それに従うことが何より大切と思います。

だって、そのような人とはなかなか巡り合えるものではありませんから。と、私は思っています。そうして私たちは結婚に至りました。

きぶんやママ
きぶんやママ

私の両親にも同じように伝えたら、結婚することを納得してくれました。

家族性大腸ポリポーシスと妊娠・出産

家族性大腸ポリポーシスと妊娠・出産

こどもを作るか悩んだ時期

結婚よりも難しかったのは、妊娠・出産のことでした。なぜなら、片方の親がこの病気を持っている場合、片方の親が持っていなくても50%の確立でこどもに遺伝することが分かっているからです。

そして、今現在の医療ではその遺伝子操作はできません。もちろん、病気を治す為の遺伝子操作もできません。(技術はあるようなのですが)

この病気を持って産まれてきた子のことを考えると、主人もだいぶ悩んだと思います。私も、まだ産まれていない我が子のことを考えると、妊娠しても良いのか、将来の我が子に対して無責任なことだろうかと悩みました。

こどもを作ることにした経緯

しかし、私たちが選んだ答えは「それでもこどもが欲しい」ということでした。私と主人のこどもに会いたい、そして一緒に暮らしたい、その思いは強くありました。

そして、私は主人にこうお願いをしたのです。

きぶんやママ
きぶんやママ

もしこどもにこの病気が遺伝してしまった時に、大丈夫だよと言ってあげられるよう、真剣に治療に取り組んで欲しい。
そして、この病気でも治療すれば長生きできるんだよと、体を張って証明して欲しい。
それは、こどもにとっても希望になる。
世の中にはものすごい数の病気があって、皆それぞれの病気と付き合いながら生きている。
確かにこの病気は珍しい病気ではあるけれど、病気と付き合いながら生きるという意味では変わらない。
真剣に治療に取り組めば、この病気に対する医療にも貢献ができる。
それは、将来の我が子の治療に必ず役立つから。

当時、主人は自分が病気だと知ってはいたものの、病院に行って積極的な治療をしていませんでした。仕事が忙しい、病気のことを考えたくない等々、いろいろ理由があったと思います。

しかし、それ以来主人は真剣に自分の病気を受け入れ、病院に行ってくれるようになりました。

4人家族になった今

家族性大腸ポリポーシスと4人家族

そして、私は長男を出産しました。今は長女もおり、家族4人で過ごしています。もちろんですが、この選択をして良かったと今でも思っています。

遺伝子の検査はある一定の年齢にならないと受けられない為、まだ2人が家族性大腸ポリポーシスなのかは分かりません。しかし、自分が遺伝しているとこどもが知った時、大丈夫だよと伝えられるように主人はせっせと治療に励んでいます。

主人は現在、大腸を温存しながらポリープをひたすら取っていくという治療を1年に2回程度行っています。その治療については、また別の日にブログにしたいと思います。↓

◆後日治療法についてブログにまとめました!こちらもあわせてご覧ください。


まとめ

家族性大腸ポリポーシスの患者さんにとって、結婚や妊娠・出産などの家族形成が悩みの一つとなっていることを知り、今回我が家の例をブログにしました。いかがだったでしょうか。

患者さんだけでなく、周りの支える人たちにとっても考えさせられることかもしれません。

我が家の場合は、病気で結婚や妊娠・出産を諦めるのではなく、「支え合いながら生きる」という選択をしました。

昔は遺伝子検査が一般的ではなかったので、この病気と知らずに一生を終えた人もいたと思います。また、結婚や妊娠・出産などで悩むことはなかったでしょう。

今は遺伝子検査で早期に分かるようになったからこそ、今後家族形成で悩む人は増えるのではないかと思います。

このブログがそうした家族性ポリポーシスについて悩んでいる方や、同じような状況にある方の参考になれば幸いです。

参考リンク:今回参考にしたWebサイトです。

◆病気について詳しく知りたい方へ
家族性大腸腺腫症 – MSDマニュアル家庭版

◆主人が行っている大腸を温存する治療について
家族性大腸腺腫症患者の治療選択拡大に期待

◆家族性大腸ポリポーシス患者と家族の会について
ハーモニーライン

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