産後から毎年「鉄欠乏性貧血」の烙印を押されている管理栄養士のきぶんやママです。毎日鉄分の多いものを食べ、こんなにも食事に気遣っているのになんで治らないのかしら…とお手上げでした。
私の父も毎年貧血なので、これは遺伝に違いないとあきらめていた矢先。最近たまたま「グルテンフリー食」を調べていたら、自分はセリアック病なのではないかと疑うようになりました。
なぜなら、セリアック病の症状に私とあてはまるものが数多く発見できたからです。
「セリアック病って何?」「私も長年貧血なんだけど治らない」「緊張するとお腹がゴロゴロする」そうした原因のよく分からない症状をずっと抱えてきた人にぜひ知って欲しい内容です。
※「セリアック病」ではなく、「グルテン不耐症」と診断される人もいます。同義の言葉として説明しています。
セリアック病って何?貧血との関係

セリアック病は食物アレルギーの1つで、小麦グルテンに対する自己免疫疾患です。
セリアック病の人が小麦製品を食べると、小麦粉のたんぱく質(グルテンに含まれるグリアジン)にT細胞が反応し、異物とみなして攻撃してしまいます。
そのため、食欲不振や下痢になりやすく、小腸粘膜を傷つけることから栄養素の吸収も良くありません。その結果、鉄分や葉酸、ビタミンB12の吸収も妨げられ、貧血になりやすいのです。
日本人にとって聞きなれない病気ですが、欧米では多い病気です。遺伝も関係していますが、最近は小麦製品を日本人がよく食べるようになったため、日本人にも確実に増えているそう。
セリアック病は遅延型自己免疫疾患なので、症状が現れるのが遅く、1~2日後に症状が現れます。より早期に症状が出る小麦アレルギーとは違うので、小麦グルテンが原因となかなか気づかず、「体調が悪い日なのかな」と思う程度で放っておかれてしまいます。

日本では診断できる病院が少なく、医師も詳しくない人が多いため、「セリアック病」の診断にいきつかない人が多いのです。
貧血だけじゃない!セリアック病の症状

セリアック病は自分のT細胞が誤って小腸の粘膜を傷つけてしまう自己免疫疾患ということが分かりました。
しかし、この疾患は、消化器症状だけでなく、全身にさまざまな症状を引き起こすことが知られています。消化器症状と、非消化器症状に分けて見ていきましょう。
◆参考サイト
GRJ(GeneReviesJapan):セリアック病(CeliacDisease)
消化器症状
セリアック病の人は、しばしば過敏性腸症候群(IBS)と診断されてしまうということもあるようです。私もそうでした。
私は中学・高校・大学の頃、合宿や集団旅行があると、必ずお腹が張った感じになり、苦しい思いをしました。下痢気味だった記憶もあります。よく食べる割には痩せ気味でした。
一度病院で相談を受けたこともあり、その時は過敏性腸症候群(IBS)と診断され、整腸剤をもらいましたが全く治りませんでした。
体重が多めの人や、下痢をしない人は「私はこの病気じゃないわ」と思うかもしれませんが、そうではないようです。セリアック病の人の50%は下痢症状がなく、また肥満の人もいるようです。

私の母は、レントゲンを受けるたびに「お腹にガスが溜まっている」と言われます。太っているからと本人は気にしていませんでしたが、もしかしたらセリアック病だったのかも!?
非消化器症状
ここに鉄欠乏性貧血がはいっていますね。私の場合は、貧血の他に「ヘルペス様湿疹」「慢性疲労」「抑うつ」「注意欠陥性障害」「切迫流産」「遅い初潮(思春期遅発)」が思い当たりました。
初潮は18歳にようやく来て、とても安堵していたのを覚えています。私は男だったのかしらと本気で疑っていた時期もありました。
二人のこどもがいますが、そのどちらも切迫流産で危険な状態を経験しました。これも関係しているかもしれないだなんて驚きです。
注意欠陥性障害は診断されたわけではありませんが、自分の家の鍵を間違って捨ててしまったり、傘を毎回どこかに置いてきてしまったり、とにかく不注意が多いのです。
私の父も長年「関節炎」「鉄欠乏性貧血」に悩まされていますし、帽子やカバンを置き忘れる常習犯(注意欠陥性障害!?)。

知れば知るほど私はこの病気なのではと疑いたくなります。
きちんとした病院で診断できる?

「あまり憶測で素人が判断してはいけないのでは?」と思い、診断してくれる病院を探しました。最近は日本でも少しずつ診断してくれる病院が出てきたようですが、まだあまりありません。
仮に診断できる病院があったとしても、セリアック病の診断は、グルテンを含む食事を続けながら上部消化管内視鏡を行い、十二指腸生検で特徴的な組織学的変化を認める場合に確定されるのだそう。
欧州小児栄養消化器肝臓学会によるガイドラインでは、以下のような条件がそろえば、十二指腸生検はしなくても診断できるとされています。
- TTG IgAが高値(正常上限の10倍を超える)でセリアック病の症状がある人
- 採血で筋内膜抗体の上昇を認め、セリアック病に関連するHLAハプロタイプ(DQ2もしくはDQ8)を認める場合
子どもの上部消化管内視鏡検査を希望しない人が多いので、この診断結果がでればセリアック病と診断されるようです。
IgAが正常上限の10倍を超えている私の息子
「パンを食べるとお腹がゴロゴロする」という私の息子は、アレルギー検査をしましたが小麦アレルギーではありませんでした。
小児科の病院では「小麦が合わない体質かもね」「本格的に検査するにはアメリカに行かないといけない」と言われました。「セリアック病」の診断名は出ませんでしたが、明らかに先生は「セリアック病」を疑っていたのではないかと思います。
なぜなら、実際に採血の結果IgAが正常上限の10倍を超えていたからです。
その時、学校給食をお弁当に変えてはどうですか?と先生から言われたので、それからはお弁当対応にしています。中学生になった今もお昼はずっとお弁当を持って行っています。
◆当時、給食をやめてお弁当対応にした話をブログにしています↓
セリアック病かもしれない人はどうしたら良い?

正確な診断を出すことは難しいかもしれませんが、もし自分もセリアック病かなと思ったら、確かめる方法が一つあります。
それは、「小麦グルテンをとらないようにしてみる」ことです。つまり、しばらく小麦製品を食べないようにします。※「しばらく」とは、1~2週間くらいを目安にします
それで体調が良くなってくるようなら、この病気の疑いが出てきます。
ちなみに、セリアック病と診断された人たちも、結局は「小麦グルテンをとらない」治療をします。つまり、「グルテンフリー食を選ぶ」ということです。
サイトによっては、自己診断で「グルテンをとらない=小麦製品を除去する」と、栄養不足に陥るから危険と書いているサイトもありました。しかし、管理栄養士の私から言わせていただくと、小麦製品をとらなくても栄養を摂ることは十分できます。
例えば、朝パン食だった人がご飯食に変えるのも有効な手段ですし、だからと言って栄養不足に陥ることはありません。
確かに外食する際は小麦製品が多く、すべてを除去するのは困難だと思います。しかし、今より少なくすることはできるはずです。厳格に除去することが難しい人は、少しずつしていけば良いと思います。
今後はグルテンフリー食についてもたまに書いていこうと思います。
まとめ
貧血はセリアック病と関連している可能性があることが分かりました。また、貧血だけでなくさまざまな全身症状が出ることもあり、小麦製品が原因と気づかず何十年も過ごしている場合もあります。
正確な診断を得るには、消化器内科やアレルギー科の専門医に相談されると良いでしょう。しかし、日本では診断してくれる病院がまだまだ少ないようです。
小麦グルテンをとらない時に体調が良くなるようなら、セリアック病(またはグルテン不耐症)の可能性があります。まずは1~2週間小麦製品をとらない食事を心がけ、様子を見てみると良いです。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人がいるように、小麦も体質に合わない人もいます。やはり日本人にはご飯を基本とした和食が身体に合っていると感じます。
◆参考にした情報:
- GRJ(GeneReviesJapan):セリアック病(CeliacDisease)
- KAKEN:セリアック病の発症メカニズムの解明と食品成分による抑制
- MedicalDOC:「セリアック病」とは?症状・食事についても解説!
信頼性の高いと思われる医療専門サイトを参考にしています。ご自身の症状と照らし合わせ、適切な医療機関での受診を検討してください。